珍しく夜中に夢で起きて、その延長で考えてみた。
2009年 02月 12日
意外と寝ながらいろいろな妄想しているんだろな・・・僕の知らないところで・・・。
その10時間ぐらい前・・・、先日出会って以来、ずっと気にしていた埼玉の北本駅の近くの4階建ての元家具屋のビルを、借りる方向性で動き出したとの報告をもらった。
頭の中で、そのビルの使い方のイメージに思いを巡らし、こびりついていたのだと思う。
で、家に帰ると、水戸芸術館から秋に行った展覧会「日常の喜び」のカタログと掲載記事資料が送られてきて、ひさしぶりに水戸芸術館での展覧会を思い出していた。
水戸芸術館でいたく心を捉えられてしまったイスラエルの作家、ガイ・ベンナーの作品。
家具を組み替え漂流者を扮する作品や、IKEAという世界中に広がっている大型家具屋で撮影した映像作品。
この作品に水戸芸術館で出会い、スッポリ僕のツボにはまってしまった。
送られてきた展覧会カタログを見て作品を久しぶりに思い出していたのが原因だと思う。
夜中の3時頃に見ていた夢はガイ・ベンナーの水戸芸術館に展示されていたIKEA系の作品が、北本の家具屋にできたギャラリーで展示されているというものだったと思う。
それを夢だと気づく程度に目覚めつつも、そのイメージの面白さを考え続けていて、ついに絶えれなくなり起きてしまい、事務所の机に座り、暗闇の中、しばらく考えを巡らした。
そういえば、一昨年、秋田の大館でのプロジェクトでも、元家具屋の空きビルが展覧会会場として利用されていて面白い空間だった。
全国各地の中心市街地にひとつぐらいは大きい家具屋はあった。家具屋は広いフロアを持っていて、ステップフロアだったり、エレベーターがあったり、展示室やワークショップルームとして再利用するには理想的。
ガイ・ベンナーのあのIKEAでの数十回に及ぶ無許可での撮影によるホームドラマの作品はこのような日本全国に潜在する中心市街地の元家具屋での展示すると、もっと面白くなるのではないか・・・。
そのような面白い作品をさらに面白く強烈にみせる状況をつくることがもっともっと可能なのではないか・・・。
僕が考え込んでいたのは、そのアイデアについてではなく、そんな面白いアイデアを実現させるシステムが普通に存在していないのかということ。
今回ガイ・ベンナーの作品を知ることができたのは彼がベネチアでの国際展に出品していて、それを水戸芸術館の学芸員が興味を持ち、美術館という場で紹介したから。
そのアートシステムの中に「中心市街地の廃業した家具屋で展示する」という発想は繋がっていない。発想がないのでそんなシステムがあるわけないが、発想があっても、システムがないから実現は不可能だと思ってしまう。
繋がっていない。関係性がない。つまりOFFの状態。
仮に、ガイ・ベンナーの作品と日本全国の元家具屋がONの状態で繋がっていれば、相当面白い状況が出来上がる。
それぞれの作品には、美術館の展示室以外に、もっと面白い状況になる場があるということで、その場とONな状態に繋がっているというシステムが重要であるということ・・・。
もっと作品性を深め、関係性を拡げたいと考えるキュレーターは、その可能性を引き出すシステムの中にいるべきではないか・・・ということを考えていた。
美術館が地域社会に対してONな状態であれば、たとえば、ガイ・ベンナーの作品に出会ったとき、地域の元家具屋の跡に作品をもっともいい状態で見せることができるというイメージを、いとも簡単に発想できるのかもしれない。
美術館で展示に要する経費を、まちに潜在する地域素材に手を入れる経費にすることで、もっと完璧に作品を見せ、さらに面白い状況をつくることができるようになると凄い。
美術館やホールを箱だと考えずに、地域社会にインストールされた文化創造系OSであると捉えるとそのことは無理ではないような気がする。
そのあたりのことまで考えて・・・頭が麻痺してきた。