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何に何で何を描くのか固執チュウ

道具は指の動きや手の動きに直結する。指の動きや手の動きなどの身体感覚はそのまま思考方法に影響をあたえる。何を持ち歩き、何で描くのかということは、一見些細などうでもいいことのように思えるが、何を描き出すのかということに大きな影響を与える。そしてそこに描かれた落書きはその人の内部にある意識やイメージに影響を与え、結果として何を行うかという行動に強い影響をあたえる。

フジは高校時代から現在に至るまで描く道具として万年筆を使うことに固執しているが、美術大学の学生時代はボールペンやマーカー、鉛筆など様々な画材を試みた痕跡がみえる。大学一年から数年間は画材屋で購入できる安価なクロッキー帖を使っていた。その紙とサイズ、綴じ方の性質からその頃の記述は落書きのような殴り書きが多い。ところが大学の4年の後半ぐらいからコクヨが長年定番として製造している経理用のページナンバーのついた補助帳に出会い、文字を多く書こうと心がけるようになった。言葉に対しての苦手意識を克服しようと考え始めたから・・・ということだけど・・・言葉は上手くない。
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多くの記述は思いついた物事や考えのメモのような走り書きのイメージスケッチ。そしてたまに目の前にある風景やコーヒーカップ、人物などを描くこともある。思考と素描がちゃんとつながっているかというとそうでもない。思考と素描についてのトレーニングのようなものがあるのであれば、それを受けて欲しかった。対象物を写すデッサンのようなものは受験のために行ったらしいが、それではなく、そこから離れ、描くことと思考することを繋げるような技術を習得する機会があれば、もっといいノートになっていたのに。
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しかし、それでも、このノートの中に何度も描かれるイメージの多くは、その後実際の空間として立ち現われることになる。イメージを定着させるプロセスがここにはある。面白いものだな。(チュウタ)

by fuji-studio | 2001-10-08 17:04 | 【チュウタの観察帖】