人気ブログランキング | 話題のタグを見る

京都文化博物館での展示

京都文化博物館は僕が大学入試の頃からずっと気になっていた場所。まさかこの日本銀行跡の建物のなかでこれほど大規模な展示を行うことができるとは思ってもみなかった。

ささやかな思いや感情からはじまる小さな行動が次第に連鎖を生み出して行き、時として自分のイメージを越えた出来事が実現することがあるのだなとしみじみ。
京都文化博物館での展示_a0010575_11065431.jpg
もう10年以上前に他界した父親が昔勤めていた会社の支店がこの三条通を挟んだ斜め向かいにあり、そこの奥にある社員寮のようなところに宿泊させてもらって大学入試に臨んだ。(そしてその住所は僕の京都時代の現住所だった)当時からこの建物に興味を持っていたが、僕にとっては全く関係のないところだと思っていた。

この建築は東京駅をはじめ、日本の近代国家づくりの象徴のような建物を建てた辰野金吾。たまたま福岡県の糸島に暮らし始めたころ、隣街の唐津に行くことが多くあり、街中に佇む辰野金吾建築の銀行跡に触れ、この建築家が唐津の出身であるということを知り、なんだか親近感を覚えた記憶がある。
京都文化博物館での展示_a0010575_11070154.jpg
この時代の多くの建造物は到底現在、未来の技術や予算では作ることがあり得ない貴重な存在にもかかわらず、耐震の問題や維持管理の費用の理由で取り壊しになってしまったところが多い。しかしこの日本銀行京都支店跡は京都府の首長の英断もあり(と現在の館長の前知事本人からお話聞きました)現在のような形での保存活用が実現している。
京都文化博物館での展示_a0010575_11071100.jpg
本当にありがたいことだとおもう。この建築物がつくれないということ。その価値について理解する感性や知識も必要だとおもうが、なによりも、それを活用する仕組みを作ってきた京都府を凄いと思う。

歴史的建造物だと保存や修復を訴え、求め、実際に取り壊さず保持しているところは多いが、それをちゃんと活用し、後悔するとともに、新しい文化創造の拠点として活用する運営システムを組み込んでいるところが果たしてどれだけあるだろうか。
京都文化博物館での展示_a0010575_11071796.jpg
今回は京都府の事業で若手作家を紹介するシリーズのアニュアル展のなかで、若手でもない作家が唯一この場を活用してそれなりの予算をつけていただいて、地下鉄の車内吊り広告までしていただいて実施させてもらっている。(地下鉄車内吊り広告がずらっとならんでいるのに驚いて思わず写真をとった)

年に一度は隣の本館での若手作家の選抜展にあわせて、この歴史的建造物の空間を最大限に活用して大規模な展示が実施されるのだそうだ。

唯一問題があるとすれば、展覧会期間が2週間程度ととても短いという点。

地方のアートセンターや美術館だとこれを3ヶ月以上は開催して、その予算を回収しようとすると思う。しかしこの空間は結構人気もあり、利用者も多く、長い時間を展示に使うことができないのが現状のようである。

そのあたりはさすがに京都という土地柄なのだろうな。
京都文化博物館での展示_a0010575_11072466.jpg
この写真は展示の様子を2階部分から撮影したもの。緞帳などの染織物をイメージしたサイズ。

この撮影した空間の2階部分は一般公開はされなかったが、関係者は登ることができたので、このようなアングルからの撮影ができたことはとても新鮮だった。もっとちゃんとしたカメラで撮影すればよかった。

京都文化博物館での展示_a0010575_11102637.jpg
京都文化博物館での展示_a0010575_11104545.jpg
それにしても、わずか2週間にもかかわらず4万人の来場者があったというから驚き。
これまでの展覧会の記録を更新したそうです。
確かにこの空間だけを言えば入場料無料だったというもの4万人入場したという要因だとおもう。さらに特徴としてはリピーターが多かった。僕のこの展示、子どもたち(大人たちも)が欲しいおもちゃの絵を描けばもらって帰れるという仕組みもインストールしたし、自由にいじって遊べるところも作った。設営の段階で地元の小学校の児童クラブの子どもたちに手伝ってもらい、すでにつながりを作っていたというのもある。

僕の展覧会としても、シドニーシティホール跡地で行ったシドニーフェスティバルの時の入場者に迫る来場者だった。
京都文化博物館での展示_a0010575_11104986.jpg
それにしても、この銀行のカウンターがそのまま残っていて美しい。思わず各所に不躾なトイザウルスを配置してしまった。
京都文化博物館での展示_a0010575_11105341.jpg
京都文化博物館での展示_a0010575_11110300.jpg
近年地方の駅前あたりに建築される公共施設のプレハブ感、安っぽさ、低予算感、はりぼて感、そしてどこに行っても同じという既視感。30年も持ちそうにない建築物を見るにつけ、もうこのような数世代を越えてなお美しく存在する建造物がつくれないのだということをちゃんと思い知り、しっかり保存、修復しながら、新しい活動を作り出す拠点として、過去の歴史から学び、新しいものを創造する場として活用して欲しい。

そして僕らはその建造物にも負けないぐらいのコンテンツをしっかり提供し、次世代へ繋いでゆかなければならないのだけど・・・。まだまだだな。

とにかく京都府さん。ありがとうございました。




by fuji-studio | 2019-01-20 11:04 | ●京都・つくるところ実験