40年ものの団地でのアートプロジェクト。
2008年 11月 15日
これは最近の僕のキーワード。決して活性化などという言葉ではない。
シングルモルトウイスキーは20年もの以上になるとぐっとおいしくなるし、そのぶんぐぐっと高価になりなかなか飲めない。・・・そうだった。禁酒中だったんだ。
40年物となるとその倍なので、ウィスキーの世界ではオークションの世界で一本数十万円するボトルとなる。・・・そうそう。禁酒中でした。
それにしてもお酒がおいしく飲めそうな団地の模型でできたカフェのテーブル・・・。
お見事!
今年の取手アートプロジェクトはそんな40年物の団地での開催。
昭和40年代にできた大型の団地が取手にあったことを去年初めて知ったが、そこがまさかアートプロジェクトのメイン会場として公開されるとは思ってもみなかった。
さすが、10年近くいろいろな活動を経験してきた取手アートプロジェクトならではのなせる業!
10年の経験と蓄積・・・これまでのさまざまな活動の連鎖が生み出した奇跡のような風景。
巨額で巨大な無人空間をつくりあげて、そのなかのショーケースのような個室にアーティストを放つのではなく・・・、
40年という人間の生活スケールの時間と空間に住民とアーティストの関係性をはぐくむ仕組みがインストールされたようなプロジェクト。
上の写真の壁、よく見ると・・・偽者の壁・・・。
応募するほどモチベーションの高い参加作家が、それぞれの視点や方法で、団地に熟成された空間とかかわり、読み込み、深めているように感じる。
団地の中の空き店舗にできた井戸端トークのミニFM放送局・・・ちゃんと井戸がつくられている。・・・やるなー。
40年の年月の襞のある場に、10年の年月を経たTAPシステムがいい形で起動している。
もともと夏だけ利用されている子ども用のプールを利用してお湯を注ぎ込んでいる住民に人気の足湯作品。
気になったガス代だが、なんt地元のガス会社の協賛を得ているとか。すばらしいガス会社!
そういえば数年前にガスタンクの絵のコンペに僕も落選狙いで参加したことがある。
そのときの関係の連鎖・・・。
取手アートプロジェクトがこの地でこの10年間培ってきた関係の連鎖が、とても自然な形でプロジェクトをささえ、動かしているように見える。
団地の各所にある貸し倉庫。 妙な倉庫の番号・・・。このあたりはいろいろみかんぐみが遊んだのだとか・・・。
個人的にかなり好きな感覚です。
仕掛けが綿密で・・・これはこの団地の合唱曲を作曲して・・・地元の人と合唱隊を結成して・・・みんなで歌うという企画。
ぼくも思わず一緒に歌ってしまいました。
歌うの・・・12年ぶりぐらいでした。
建築のゼミがこの団地で行った実験。
団地の普通の部屋、3DKに毎日一人ずつ増えながら暮らしてみるというもの。
最初は一人で暮らし始めて、毎日ひとりずつ増えてゆき、結局23人が暮らしたのだとか・・・。
暮らしながら毎日ベッドを増やしていったのだとか。
日々の対話の痕跡をそのベランダでみつけ・・・、そのプロジェクトの本当の意味を垣間見たような気がした。
団地の内装をほとんど触らずに、あたかも新築マンションのショールームとして見せようと、間接照明を作品化しているアーティストもいた。
ありえないけどありえそうな微妙な間接照明が妙にしらじらしくもあり、心くすぐる。
そういえば、家電もまた昭和を象徴するものなのかもしれないなー・・・。
ゴキブリ家の一家団欒の家庭の明かり?
このつまらないこだわりが妙に面白い。
ひととおり団地内の作品を堪能して周り、またカフェにもどると、そこでは全国の団地をまわって撮影している団地マニアがあつまり、レクチャーをおこなっていた。
団地マニアっているんだな・・・。高層団地マニアと低層の団地マニアといるらしい。
取手アートプロジェクトの最高傑作の作品も団地の中で発見した。
プロジェクトサイトの団地に引っ越してきて暮らしている取手アートプロジェクトのスタッフ関係者。
ぐるっとひとまわりして足が疲れたので、再び足湯へ。
そこで、以前金沢でお世話になった60年代あたりの地方の前衛美術の研究者のN氏に久しぶりにお会いする。
現在は水戸に住んでいるのだとか。ここでもいろいろと縁が連鎖しているなー。
その日の夜に取手アートプロジェクトの同窓会があり、過去の関係者がいろいろ集まるのだとか。
で、ここで、オリジナルの盆ダンスもやり、もりあがるのだとか。
そのまま飲んだくれて井野団地で過ごしたいが・・・神楽坂のギャラリーのオープニングに行かなくては・・・。
あ、禁酒中だった!
取手アートプロジェクト、万歳!