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飛田会館議会室40年のほこりにまみれる。

大阪、飛田の飛田会館の議会室の掃除の2日間

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アートプロジェクトの基本は「掃除」と「挨拶」!

・・・という話は1998年、今から10年前の福岡で開催されたミュージアム・シティ・福岡で盛んに語られていたこと。

当時僕らがはじめた「Plant Demonstration」という街で活動を行なうシステムの活動の基本も、「清掃・整備活動からはじめる」というものだった。

・・・もちろん、「掃除と挨拶が基本」というのはアートプロジェクトだけのことではない。社会との接し方、自分との接し方の基本なので企業でも行政でも、どの現場でも必要最低限のルールであるが、「何かをつくる現場」ではそれ以上の深みがある。(あ、企業も行政も何かをつくる現場ですが・・・)


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絵を描く前にキャンバスを張り、下地を整え、下地を塗り重ねながら、これから描くイメージに思いをはせるように、表現の現としてこれから関わる空間に手をいれ、清掃・整備からはじめることは接し方の基本なのだと思う。

実際、いい職人の工房も、いい料理人の調理場も相当手と神経が隅々まで行き渡っていて気持ちがいい。

しかし、この基本がなかなかできないのが若者。・・・その意味では僕もまだ半分若者かな・・・?
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庭の手入れ、道具の手入れ、けが人の手当て・・・手をいれたり、あてたりの言葉はいろいろあるが、実際に手を触れるという言葉は、何かをつくるという以前にとても重要な行為としてある。

まちに手をいれる、てをあてるという行為のもっとも簡単なきっかけが「清掃・整備をする」ことだと思う。掃除をされる側で、これを断る人は多分少ない。

もちろん清掃整備にはかなり高度な作法が必要であるが・・・。


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今回、40年近く封印された議会室に手をいれる。

40年分の埃が何層にもなって重なり、雑巾がけだけではとてもではないがきれいにならず、床や机、椅子は真鍮ブラシで磨いて埃を削りだす状態からはじめる。

天井の仕上げ塗装も剥がれ落ちそうな部分を粉塵まみれになりながら削り落とす。

思いのほか大変な作業。


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京都市立芸術大学の構想設計の一年生達も掃除にかかわり、その空間の変容を体験する。

手をいれることで空間は劇的に変容し、そこで何か新しい活動が生まれるという期待感の発生を体感する・・・たぶん無自覚だろうけど・・・


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そう。何かをつくるということは、何かができつつある期待感をつくるということであり、何かができる期待に満ちた(満ちたというほど満ちていなくてもいいのだけれど・・・)そんな時間をつくるということだということを再確認する。

この「なにかができそうな期待感が盛り上がる時間」がやめられないんだと思う。


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もうすでに、できるものが見えてしまったり、できてしまったイメージをなぞるようにつくる事に何の魅力も感じなくなっているのはそのためなんだと思う。

つくるということは・・・期待に向かう充実した時間をつくること・・・なのかな。


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埃まみれになっても楽しくて仕方がないのは、一緒に埃まみれになっているメンバーが、これから何かを作ってゆこうとする期待の方向を向いているからなのかな。

しかし、この空間はそれだけ期待させる空間であることは確かである。


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掃除に参加したイギリスからのスタイリッシュなかんじの女性アーティストも埃まみれになりながら、この場で何か撮影したいと考えたのだとか。

学生を連れてきた高橋君も何かそこに仕掛けようとしているのかも。


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参加者の皆さん、本当にお疲れ様でした。皆さんが手を当て、磨き上げたこの空間が今後どのような活動の連鎖を生み出すか、乞うご期待! 

僕自身は、まだまだ椅子とか床とか磨き足りなかったし、それにつながる廊下とかベランダとか、天井の穴とか・・・もっともっと手をいれたい場所がたくさん目に付いて仕方なかった。

そういえば、最後まで未練がましく手をいれていたのは僕だったと思う。

・・・・

ここで一ヶ月、ずっと空間を触らせてくれたら、相当いい空間にする自身があるのですが・・・。

もちろん、最初には何のビジョンもイメージもないところから。

もっとフェティッシュに空間を触りたいですね。

そんなこと、一度どこかのレジデンスにでも参加してやってみようかな・・・。

できれば、廃墟がいいなー・・・。
by fuji-studio | 2008-10-07 08:45 | ◎大阪・新世界等での活動