過ごす拠点をつくるということ。
2006年 05月 05日
このプログラムの広報については、地元の回覧版、小学校での全児童への配布、深江小学校での校内放送、公民館活動を通しての深江地区全戸配布などと予期せぬことにどんどん拡大していった。
これは実行委員のネットワークの力ですね。 あらためて地域の持つネットワーク力を思い知る。
筑前深江のような小さな規模の町で、子ども達や高齢者向けに何かを行う場合、その地域が持っている情報網がいろいろあって、実はそれがもっとも信頼性が高くて有効であることを忘れがち・・・。
全国各地でアートプロジェクトを行っているところは多いが、なかなかその地元ネットワークに接続できなくて悩んでいるケースも多い。
このような地域活動にはいわゆるデザイナーが作ったような印刷物「フライヤー」は必要ないのではないか。
子ども向けの出来事を告知するときは子ども達がつくったイメージを手描きで整理してコピーする程度のほうが効果があるし、地元の持つ情報伝達力に任せて多層に広報してもらうほうが有効的だと確信する。
その効果のおかげか、ゴールデンウィーク中、子どもの日、家族でどこかにおでかけというケースも多いはずなのに、キチづくりはいろいろな参加者で盛り上る・・・。
いつもは静かな深江海岸が巨大な砂場のようになる。・・・それはそれでいいいのだが・・・
実はこのワークショップ、僕としては去年の神戸カエルキャラバンで行った、イザというときのサバイバルハウスづくりの福岡バージョンをイメージしていた。
キャンプ参加者が海の家で2泊3日を過ごすので、その快適な空間をつくる拠点作りのワークショップを、福岡で付き合いのある建築家であり、日本キチ学会という活動をしているオガタ君に頼んでみた。
オガタ君とは98年以来の付き合いで、いろいろと、いろいろと関係が深い。
本当は砂浜沿いにあるとてもいい感じの松林があり、子ども達にはそこで軽くキチ作りでもして遊んでもらい、参加者の大人がサバイバルハウスに匹敵するオリジナルな寝床をつくる予定だった。
ところがイザはじまってみると子どものキチ作りは親も参加して・・・これは秘密キチというよりは仮設住宅作り!?
で、参加者のほうがどちらかというと子どもの遊びに近い秘密キチモード・・・。
まあ、参加者が納得してくれればいいのであるが・・・、贅沢をいえば・・・ここで数ヶ月過ごすことを前提とした快適な拠点作りについての建築的なアプローチをして欲しかった。・・・これはこれからの課題だなー。・・・
ところで僕の爺さん(ちなみに藤三太郎といいます)は奄美大島の大熊というところで船大工、宮大工をしていたと聞いている。
その血が騒ぐのかどうかはわからないが、空間をいじることが個人的にはとても好きだ。
僕自身、一人暮らしを始めてから、子どものいる現在でも・・・完成されたマンションやアパートには興味がなく、手を加えることのできる空間に魅力を感じ、そのような場所を好んで移動してきた。
棲むところ、過ごすところを自分でそこにある技術で工夫して作るということ・・・
そのとても基本的なことができない今という状況に対する違和感・・・
つまり・・・他の人が企画して完成させたものを長期返済ローンで購入するという仕組みに対する違和感・・・
ちなみに、僕が20代半ばに暮らしたパプアニューギニアの田舎では、3年~5年に一度、自分達で自分達が暮らす家を新しく建てる。
やしの木でつくるその家は3年~5年でカビが生えたり、腐ってきたり、虫が湧いたり・・・。
だから、家は3~5年で作り変えるのがももっとも効果的なのだとか。・・・・
その話しはおいといても・・・、何らかの拠点をつくるという行動を促す仕組みづくりは、まだまだ未開発で様々な展開への可能性があるような気がするのだが・・・。
これも今後の課題ですね。