十和田に来て3年目だというのにまだまだ青森県内を巡れていない。
青森で活動するさまざまな人に出会えていない。
今年の秋に企画している田中忠三郎の展覧会のために八甲田を越えて弘前に向かう。
八甲田はまだ雪がつもったまま。空気が澄んで美しい。心が洗われる。
青森の弘前を中心にかつて女性が作っていたこぎん刺し。
100年以前も前につくられたこぎん刺しや現在つくられているものなども含め見せていただき溜息。
針と糸というとても単純な道具によってつくられる青森の女性の精緻な時間。
あるいはじぶんの居場所、空間。そして刺すという行為を重ねることでしか入れない異次元の世界。
現実のさまざまな厳しい状況を乗り越えるためにあみだされたある種のテクノロジーといっていいのかもしれない。