Tokyo Art Research Labでの川俣さんとのトーク。
2011年 01月 21日
東京文化発信プロジェクトが千代田区のアートセンター3331を拠点として仕掛けている人材育成プログラムのひとつ、tokyo art research lab.
そこで東京芸術大学の熊倉さんがコアとなって1990年から2010年の日本型アートプロジェクトについての俯瞰と検証(?)を行っている。…詳しくはサイトで…
8回シリーズの最終回が…越後妻有とか瀬戸内国際芸術祭とか大型のアートプロジェクトについてのざっくばらんな作家としての関わり方の話など…
煮え切れない、モヤモヤはなんだろう。
川俣さんのトーク中の発言の態度…切り込み方にズレがあるのか、話そうとしている足元をすくわれる感覚。
おそらく会場のだれも気付いていないかもしれないが…話の方向性に対して僕が発言しようとしている内容の前提をはらりとすくわれて、別の話をしなければならなくなってしまう感覚。
随分前に名古屋で対談したときもなんだか変な気分だった。
基本的に優秀なマネジメントチームを抱えながら欧米の大型アートイベントで大型のプロジェクトを続け、そのドキュメントを出版し続けることでアートシステムの王道を歩き続けている川俣さんの発言は、アートの存在や力を確信しているゆえか、常にモノゴトを斜めに俯瞰しつつも、断定するような語りで切り込んでくる。
それが的を得ている要素も多く、話も魅力的で、どうにもごまかされてしまった違和感を抱いた瞬間…、別の興味深いトピックへと飛ばす。
話を聞いていると、多くの些細な問題点がすっ飛ばされて話が展開してゆくので、小さなもやもやが多く発生しつつも、その展開が痛快なのでついつい忘れさせられる感覚。
とにかく、大型のアートイベントに対して「もういいんじゃないか」とうんざり感漂わせながら、まだまだ大型タワーは立てる気満々を見せる。その振る舞いが魅力なのかな。
アートプロジェクトシステムの拡張する状況に作家の流通・消費への危機感を語るあたりは教授っぽいが、批判的発言を軽快に重ねつつも、次のベクトルへの示唆的な発言が少ないので、やっぱりところどころで気分が曇る。
昔から感じていたが…川俣さんの活動はそれそのものは凄いだけで共感するところは少ないが…、巻き込まれてゆく周辺の変化のありようが注目に値する。連鎖のありようが抜群。
例えるならば…僕は大学時代にゴジラのキグルミを着て散歩しつつ、ゴジラとハニワの関係をいじいじと捉えようとする活動しかできなかったが、川俣さんはゴジラそのもの。ハニワとの関係なんて関係ないし、散歩したあとの街へ(周辺へ)の影響(あるいは被害)なんて興味ないのだろうが…とにかく抜群。
とりあえず、越後妻有でのCIANの活動について紹介していたので、チェックしてみよう。
…しかし、この8回レクチャーをはじめとして、アートプロジェクトの1990~2010の俯瞰する作業、出版される予定だとか。
たいへんそうだな…。
※久しぶりに「ゴジラ君の散歩」、「ハニワとゴジラの結婚離婚問題」あたりの記録写真・配布漫画(1984‐85年頃)を掲載してみました。