Asahi Art Festival2010の報告会と検証会にフル参加
2010年 11月 22日
2010年に開催された全国各地のAAF参加プロジェクトの代表者が一堂に集まってそれぞれ報告し、現場の問題を報告する。
時間が短いのでそれぞれ濃厚な内容の報告はできないが、それぞれブース展示を行っているので詳しく興味を持つ人はそれぞれ対話ができる仕組みが会場に作られている。
2002年からはじまったAAFだが、2005年ぐらいから全国各地で開催されるアートプロジェクトのネットワークを支援する公募がはじまった。
完成されたアートイベントを助成するという性格のものではなく、どちらかというと、地域実験として立ち上がってくる地域ベースのアートプロジェクトをネットワーク化することで、それぞれの地域で活動する人材を繋ぎ、問題を共有し、活動の連鎖を促すという質のAAFだけに、今回のような報告会はとても意味深い。
実は2002年の公募前のAAF以来所々で関わっている。2005年には現在のNPO法人プラスアーツが設立するきっかけとなった神戸での防災プログラム、「神戸カエルキャラバン!」(その後、イザ!カエルキャラバンと名称変更)とか2006年の「筑前深江アーツキャンプ」とか主体となって関わったものもあるが、「大宰府スタードームフェスティバル」とか宮城の「アート屋台プロジェクト」とか大阪の「此花アーツファーム」とか、ディスカッション参加者が自主的に応募して参加することになったものもボチボチある。
アーティストとしてとかパネラーとかディスカッションの参加者として参加したものと「かえっこ」を使ったことがある地域での開催のプロジェクトを数えると…これまでにいくつぐらいあるのだろう…。
しかし、実は選考・検証会には幾度となく参加してくるが、オープニング・交流会・報告会には、ゲストスピーカーとして呼ばれた一度を除いては参加したことがない。実行委員会にも一度も参加したことがない。
もろもろの理由で来年は選考・検証委員から離れることにしたので、今年がもしかるすると最後の関わりかもしれないので…しかも去年までビールを飲めない悲しい状態での参加だったので…美味しいビールを飲むためにも初めてがっつり参加する。
確かに…地域とアートとささやきだされて10年は過ぎたのだろう。今回もいろいろな人からもういいのではないか・・・との発言が出るくらい、「地域とアート」という言葉は流通した雰囲気がある。
80年代の都市博覧会の変わりかのように連立する全国各地でのビエンナーレ、トリエンナーレ、国際芸術祭。
あるいは商店街も空き店舗も学校跡地も歴史的建造物も…改修予算や運営予算がないときに便利に使えるアートプロジェクト…のような状態…といわれても仕方ない。たしかに瀬戸内国際芸術祭には105日で90万人を超える来場者があったとのことだし…実際に僕の現場ですら連日大賑わいだったし…。
しかしながら相変わらず…はたしてどこが成功と言えるのか、いや、成功と言えなくても、どこの周辺がどのように「いい」状態になったのか。
それがわからないに見えないので、いろいろなやり方でいろいろな実験が繰り返される。
たぶん、ずっと実験は続き、実験に参加している人はそれなりに美味しいビールに救われながら右往左往、喜怒哀楽の日々を過ごし…結局なんだたんだろうおふと振り返り、そういえば楽しかったなと過去のものとして振り返り、また美味しい…。
いづれにせよ、どこにも完璧なシステムなんてないし、すべてがプロセスにある。だからといって…どうせ完璧なものなどないのだと不完全な状態に納得するふりして無口になる態度ほどお酒をまずくする状態はないのだから、お酒を美味しくするための四苦八苦をアサヒビールが協賛しているのは理にかなっているのかもしれない。
今回「地域はすでに前提として定着したのであえてテーマにしなくてもいいのでは…」との発言もしてみつつ…ふっと地域で活動を志し、東京から拠点を鹿児島に移した89年当時の頃のことを思い出してぞっとした。
そうそう。89年頃、地域で活動し始めたころ、地域は地域と呼ばれていなかった。そうだった。思い出した。みな「地方」と呼んでいた。
「地方作家」という呼び方があり、地方で作家活動をすること…などと語られることが多かった。
僕はその呼び方に大きな違和感を抱き、「地域計画」という言葉から引用し、「地域で活動する作家」と意図的に呼びかえる努力をした記憶がある。
その結果…個人的には93年ぐらいから東京を離れた頃に東京にも地域が発生した。いや…東京も地域の集合体であることに気づき、それなりに魅力的にみる視点が発生した。
地方という呼び方には中央とか都会とかの対立概念としての意味が深い。どのエリアも属性が違うだけで、メリット・デメリットはそれぞれなので、意図的にフラットにと捉えて「地域」と呼ぶことにした。
そう考えると地域はエリアを限定する「フレーム」なのかな…。
今回の話の端々で登場していた次の方向性…「問題・課題・テーマベースのプロジェクト」これもまたフレームの話だなあ。
若手研究者、そろそろこのあたりのこと研究している人ってまだいないのかな。頑張って欲しいな。黒田さんみたいに…。