此花、じわーっとした連鎖は確実に拡がっているようです。
2010年 10月 31日
その実践に向けて毎年行われているオープンスタジオ形式のイベントが「見っけ!このはな」
此花区にかかわり始めたのは3年前、このはなかえるクラブというかえっこを使ったイベントで此花区の地域づくり活動に参加したのがきっかけだった。
その関係から政岡土地建物という地元の不動産管理をしている会社に出会い…いろいろあって…そこの持っている木造家屋を利用することになり…そこで考え始めた「此花アーツファーム」構想。
その流れは僕のこのサイトの流れを見て行ってもらってもわかると思うが、僕の動きはほんの一部でしかなく、じわじわーっと多層な動きが自然発生しつつある。
2年前にiopが仕掛けたイベントでは、実は桜島アートプロジェクトで活動して、リンクした作家が桜島の延長で動き、スターターの役目を果たした。
その関係が別府混浴温泉世界でのわくわく混浴アパートメントに連鎖し、現在、京都とか柏で行われているわくわくの流れへと展開したことは此花で現在活動している人たちはあまり知らないと思う。
でもそれはそれでいい。
いろいろな活動は捉えがたい複雑な形で少しずつズレながら連鎖して新しい関係を作り出す。
それがこの此花で確実に動き始めているような気がして興味深い。
2年前、そして去年の活動と今年の活動との明らかな違いは、この地域で実際に暮らしながら、あるいは制作の現場としながら自主的に活動している表現者がそれぞれの活動の現場を公開しているという点。
去年までは僕が借りていた此花メヂアも建築家の大川君を中心に借りてもらうようにシフトチェンジし、彼が若い作家の吸引力となり、多くの作家が興味深い活動を模索し始めている。
四貫島商店街の中にもキスヒサタカが神戸から拠点を四貫島に移し、森巣ラボという名称で活動をはじめ、梅原さんとかが宮本マンションで活動しはじめたり、黒目画廊という不思議な活動ユニットが動き出したり…フルヤさんが引っ越してきてオルタナティブスペースをつくったり…
なんといっても奇跡的に立ち上がった梅香堂というもっとも現代美術に鋭角なギャラリーが此花に登場して一年が経過したり…
本当にじわっとした関係が少しずつ拡がりつつ、そしてそこがちゃんと定着している雰囲気が見える。
それにしても、あのキスヒサタカとオオカワアキラが一緒に活動しているこの…
土木系イメクラ。
本当にくだらなくて情けないほど…感動的にダメでいい。
なかなかやるなとは思っていたが、ここまでダメなことをこんなにゆるくやるとは…
せっかく真面目に此花アーツファームを語ろうと思っていたのに、それをブッ飛ばすほどのくだらない活動。
しかし、これができるフィールドってなかなかない。
そういえば、数日前、瀬戸内国際芸術祭の僕らの活動について北川さんにおこられた内容を思い出した。
「思いつきでやられても困る」とのこと。
それは本当にそうだろうと思う。その件についても僕としてはいろいろと反省する点も多かった。
確かに瀬戸内国際芸術祭ではこんな思いつきの活動は絶対に起動しない。
だからこそ、それを起動させる此花の力はすごいものだと思う。
ありえないものを存在させることがアートの力なのだとすると、そんなアートであれば悪くないのかもしれない。
何よりもいいのは彼らの上に「アート」という大きなオモシがない。
発表の場はもっといろいろなシステムがあっていいと思っているが、このようないろいろな活動を実験し、いろいろな意見に晒さらされ、いろいろな興味がぶつかり合う現場が育ってゆくような地域があればいい。
アーティストは地域の問題とか関係なく、勝手にふるまい、自分の違和感に向かいあい、なりふり構わず表現すればいい。しかし、一方で建築家や都市計画や地域づくりを行っている専門家や学生がかかわっている現場であるがゆえに、そのような視点の活動がもっとリンクして深めてゆけばいいと思っている。
北本でも模索しているが、あたらしい賃貸借契約のあり方とか、建築家とアーティストの関係とか、まちづくりとデザイナーとの関係とか、編集者とまちの活動の関係とか…
もっとリサーチと実験を積極的に行える仕組みを模索しなければならないと思うのだが、そこで動こうという視点は不足しがち。
しかり、そこが先行している現場よりも、はるかにおバカなアーティストがありえない活動を立ち上げることが現場のほうが魅力的であることは確かだと思うが・・・。