北本で家を持ち上げました。
2010年 10月 11日
今回はwah documentというwahの記録、運営の事務所を北本に制作することから活動をはじめ、主体をいろいろなチームが行うという新しいフレームを用意して北本の様々な活動を展開している。
北本市内にあるいろいろな魅力的な物件を使うシクミを模索する活動。
そのひとつ、西高尾の空き家をwah documentのメンバーでもある増井君の学生がチームをつくりその利用方法と改装方法を試行錯誤してきた。
美術大学の一年生なので、…こういう言い方をすると失礼だと思うが、制作の経験もほどんどなく、地域社会にどのように接すればいいかの経験もなく、対人関係のコミュニケーションのあり方すらもまだ模索中の年頃。
もちろん家を持ち上げたことなんか一度もない。
空き家の利用と改装ほ方向性を考えるうちに「持ち上げる」という改装方法へとたどり着いたのだとか。そのズレが痛快で仕方ない。
逆に経験を重ねたおっちゃんが面白い発想ができなくなってゆく根拠はそこにある。
経験がないがゆえに、(wahの場合は経験からだと思うが)あまりにもばかばかしい到達点を選択してそのありえない交渉と苦労と労働を重ね、地域の中に様々な積極的でポジティブな摩擦を生じさせるという手法。
そんな明るい事件を地域社会の中に発生させることができるアートプロジェクトが可能だとすれば、アートも悪くないかもしれない。
前日までは、持ち上げるために必要と予想されていた200人という人数にまったく届かないという話だったが、当日いろいろなところから…子どもから家族連れから高校生から高齢者まで…200人を超える参加者があつまり実現する。
何度かの掛け声だけの練習の後、本番の掛け声とともに200人の肩に家が食い込む。
ググッと重さを感じた後、ふっと家を持ち上げる感触。…と同時にこぼれ聞こえる驚きと感動の
声。さん、に、いちの掛け声の後、重さと感動に耐えながら家をゆっくり肩からおろす。
肩から家を下した瞬間、家の中と外のあちこちから沸き出てくる歓喜歓声。
いやー、生涯たぶん二度と体験できない肩に刻み込まれた持ち上げた家の感触。
北本のみなさん、関係者の皆さん、本当にありがとうございました。
wah documentのブログでも報告があります。持ち上げた瞬間の動画もリンクしていますのでぜひご覧ください。そして、今後、このようなチャンスがあれば、ぜひ逃さないように。