S/N記録映像の上映会とトークセッションから、思わぬ反応連鎖が・・・
青森の国際芸術センターでのレジデンスプログラム「ツナガルシクミ」の最終日。

参加作家の繋がりを語る上で欠かせないということで、ダムタイプの昔のシアターピース、S/Nの記録映像の上映会とディスカッションが開催される。

a0010575_149414.jpg高嶺と小山田と僕との組み合わせが珍しいということで、かなりコアな観客が全国から来て驚く。

誰と話をするかで話は妙なところに転がってゆくもので、とても興味深かったので少しだけ紹介しとこっと。

半年ぐらい前に六本木ヒルズの森美術館にも95年に編集されたS/Nの記録映像が出品されていて、このブログでも紹介したが、去年ぐらいから京都精華大学情報館メディアセンターがやはりS/Nの記録映像の上映会を行ったり、トークイベントを企画しているらしく、その仕掛け人の八巻真哉さんも会場に来ていた。

さらに、そのイベントにも深く関わっている山田創平さんも前日に青森の歴史についてのトークを行った関係で来場していたことが大きな原因だと思うが、S/Nが単にシアターピースとしてではなくて、1990年前半に京都で発生した重要な事件として話は展開していった。

確かにダムタイプの流れの中でも他の作品とS/Nはまったく違ったあり方をしていることにはなんとなく気づいてはいたが、言葉として明確に意識化されたのは僕にとって今回が初めてのこと。


S/Nをシアターピースとして捉えるのではなく、古橋悌二という影響力のある人間がHIVポジティブ、いわゆるAISDに感染したことがきっかけとなって動き出したプロジェクトだったということ。

そしてその影響は京都で活動をともにしていた人の周辺に影響を与え、そこから様々な人が動き出し、いろいろな要素の活動がうねり始めた現象だった・・・ということ。

多くのアーティストに影響を与えたことはもちろんのこと、AIDSや人権の問題に関わる活動をはじめ、地域社会におけるいわゆる文化芸術活動の意味をも変革していった事件としても重要なプロジェクトだったことを再認識することになった。

話の中で、勢いあまって・・・S/Nを現在の地域社会の中で存在させる方法として・・・映像作品としてではなく、新しい地域社会のシステムのフォーマットにあわせて再編集する必要があるのではないかとの指摘を発言してしまう・・・。


a0010575_1515225.jpgその具体的なフォーマットのイメージを質問され、とっさには答えられなかったものの・・・、おそらく・・・、現在様々な地域で活動する団体や個人が多く関わるプロジェクトとして、S/Nの全世界で公演された記録映像やその周辺で派生した活動資料を公開できる形でアーカイブ化し、多くのメディア系のアーティストや活動団体、あるいは問題意識を持った個人が関係し、再編集できる素材として分析しつつ、イベントとしてのフォーマットが可能なのではないかと考えた。

実はそのアイデアのベクトルは京都精華大学の八巻さんがすでに実践していることを知り、さらにたまたまインドやフィリッピンから来ている若いキュレイターにも響き・・・

トークセッションの現場の中で、もうすでに反応連鎖ははじまりつつあった。

当時のS/Nの制作に関わっていたメンバーや、現在のダムタイプ、あるいは大きな影響を受け、活動をはじめた団体や個人が新しいS/Nプロジェクトの制作実行委員会に加わり、権利関係をクリアすることが大前提だと思うが・・・全世界で展開しそうな期待感がジワーとにじみ出てくる。

いや、この青森の森の企画も無駄ではなかったのかな・・・。

なんだか、アートプロジェクトの新しいフォーマットがようやく見えてきたような・・・とにかく、今後の展開に乞うご期待。

京都精華大学ではもうすぐS/N関連のイベントが仕掛けれれているようです。
by fuji-studio | 2010-09-05 23:47 | ・講座/対話/研究会


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