豊島唐櫃の公堂の床磨きと修理をする藤島八十郎
2010年 07月 13日
着色塗装でがっと塗れば早くてきれいになるのだろうが、匂いとかいろいろ大変そうなので、カラーワックスで磨く。
磨いていると床にこびりついている塗料のしみとか、木目とかが気になり、それを小動物にたとてみたり、星にたとえてみたりとこえび隊の妄想は尽きない。
こえび隊とは瀬戸内国際芸術祭の正式サポートボランティアの名称。登録者は1500人ぐらいいるとか。
僕のところには毎日1人~3名ほどが入れ替わりでやってくる。遠いところは神奈川から、愛知から滋賀から岡山、高松から・・・いろいろな人が豊島にあつまり、いろいろな作業の時間を共有する。その時間そのものが貴重だと思う。
いろいろな人と一緒に何かをいじっていると、そこから予想していなかったイメージが湧き出てくる。それを実際に形にするのかどうかが別れ道。
実際に形にしてしまうという点のみが僕らの特性のような気もする。
床を掃除していると、床板の割れを発見。 紙ガムテープで貼っていたのがはがれている。
その割れとおなじ形に木材を削り、はめ込んで補修してみる。
このブログやツイッターで報告しなければ、おそらく誰も気づかない作業だと思う。
そんな手わざの痕跡を豊島の各所で行ってみたい。
だれも気づかれないような仕業でも、物語をつくるというフォーマットの中では十分作品化のプロセスとして成立する行為のような気がする。
地域を圧倒するような強烈な作品をインストールすることばかりが有効な手段とは思えない。だれも気づかれないところで些細な感情に向き合いながら小さな沁みや割れに手を入れるという行為の連続や連鎖が空間の質を変えることもある。
いづれにしても辛抱強く、長い時間かかる仕事だと思う。