藤島八十郎の家のための掃除、掃除、掃除・・・
2010年 06月 11日
毎朝8時10分に港に到着するこえび隊と呼ばれている瀬戸内国際芸術祭のサポートスタッフを車で迎えに行くことから一日がはじまる。
香川県を中心として全国各地から集まっている彼らの、献身的な労働力をたくさんいただきながら、掃除、掃除、掃除の日々。
地元の人に草刈機を借り、混合ガソリンをいただきながら、350坪程度はありそうな敷地のを覆う雑草との格闘。
雨漏りで崩れかけている家の床、天井、壁の掃除。
出てくる家具、道具の分類と掃除・・・
実は、僕としてはこの3ヶ月ほとんど毎日行っている作業となんら変わりはない日々。
ただ、唯一違うのは、先日までの作業が自分の生活空間のための整備だったのに対して、今回の作業は藤島八十郎という架空の人物をつくるための作業。
体を動かせば動かすだけ、手を動かせば動かすだけ、頭を動かせば動かすだけ空間のありようが劇的に刻々と変化する。
その状況に自分の思考と行動をシンクロさせてゆく感覚がたまらなく興味深い。
たまに自分の常識をうらぎり、自分の慣れし親しんだ仕草や振る舞いを切捨て、そこで出会ってしまったモノや状況と深く対話し、予期せぬ方向に向かう行動。
豊島の今回の物件はやはり地域性だと思うが、福岡の昭和初期のそれとは大いに違い、島の生活の痕跡、価値観の手垢がにじみ出ていて翻弄される。
清掃整備のプロセスの中で創出されるすべての素材をすべて分別し、会場を構成する・・・という必要性だけは十分に理解できた。
30年程度空きやになっていた昭和初期の「家」を読み込むことで島の価値観、あるいは昭和の時代の地域にこびりついた価値観が浮き彫りにされ、そこを起点にして、何かをつくろうとする方向性をひたすらに見せることができればそれでいいのかもしれない・・・と思いつつ・・・
思いつつも、あまりに気持ちのいい空間の予感に・・・かなりいろいろつくりたくなってきた・・・。
・・・・
ところで、今回のプロジェクトパートナーの管巻三十郎こと宇野澤君が、ついに豊島のカラトの現場住所に住民票を移してきた。
いよいよ島の住民か。おめでとう。
僕は糸島の住民・・・。
島繋がり・・・
島のイメージをリンクさせて広げてゆくような空間になればいいかな・・・。